息子が高校でバスケ部に入ってから1年半。最近、少し気になることがあります。
足首を捻った、膝が痛い、肩が違和感がある—練習後に「今日ちょっと怪我した」という報告が増えてきたんです。大きな怪我ではないんですが、小さな怪我が続いています。
「練習がハードになってきたのかな」「疲れが溜まっているのかな」と思いながらも、正直、競技経験のない私には何をしてあげればいいのかわかりませんでした。
そんなとき、ふと気づいたんです。息子の睡眠時間、足りているんだろうか?
この記事では、私が調べた「睡眠と怪我の関係」についての科学的データと、親としてできることをまとめました。同じように「子どもの怪我が心配」と感じている父親・母親の参考になれば嬉しいです。
「最近、息子の小さな怪我が増えてきた気がする」—父親として気づいた違和感
朝練のために5時半に起きる。夜は宿題と部活の疲れで、ベッドに入るのが23時過ぎ。計算すると、睡眠時間は6時間半くらい。
「そういえば、アスリートって睡眠を大事にしてるって聞いたことがあるな」
そう思って調べてみたら、驚くべき事実がわかりました。睡眠不足は、怪我のリスクを1.7倍に増やす—そんな研究データがあったんです。
つまり、息子の小さな怪我が増えたのは、もしかしたら睡眠不足が原因かもしれない。
技術指導はできない。戦術の話もわからない。でも、睡眠環境を整えることなら、父親の私にもできる—そう思いました。
知っておきたい基本データ
16〜18歳のジュニアアスリートに必要な睡眠時間は8〜10時間(米国睡眠学会推奨)。しかし、日本の高校生の平均睡眠時間は約7時間18分。
つまり、多くのジュニアアスリートが、慢性的な睡眠不足の状態で競技をしているということです。
なぜ睡眠不足で怪我が増えるのか—父親として知っておきたいメカニズム
「寝不足=ほろ酔い状態」という衝撃的な事実
「睡眠不足だと怪我が増える」と言われても、正直、最初はピンと来ませんでした。
でも、こんなデータを見つけたんです。
一晩の断眠は、血中アルコール濃度0.09%の状態と同じ注意力レベルになる。
(出典: PEACEアスリートクラブ)
つまり、寝不足で練習するのは、ほろ酔い状態でプレーするようなものだということです。
これを知ったとき、ゾッとしました。息子は毎日6時間半しか寝ていない。ということは、ほぼ毎日「ほろ酔い状態」で練習していることになる。
そりゃあ怪我も増えるわけです。
睡眠不足が引き起こす3つのリスク
調べていくうちに、睡眠不足が怪我を増やす理由がわかってきました。大きく分けて3つあります。
①注意力・判断力の低下
睡眠不足になると、脳の「前頭前野」という部分の機能が低下するそうです。
わかりやすく言うと、集中力が落ちて、危険を察知する能力が鈍るということです。
バスケなら、ディフェンスの動きを読み違えたり、着地のタイミングがずれたり。サッカーなら、ボールへの反応が一瞬遅れたり。
こうした「ちょっとした判断ミス」が、捻挫や打撲につながるんですね。
息子も最近、「あれ?こんなところで転んだの?」というような怪我が増えていました。もしかしたら、注意力が落ちていたのかもしれません。
②筋肉疲労の蓄積
これは後で詳しく書きますが、睡眠中に「成長ホルモン」というものが分泌されて、筋肉を修復してくれるそうです。
つまり、睡眠時間が足りないと、筋肉が修復されないまま翌日の練習に臨むことになるということです。
疲労が蓄積すると、肉離れや腱の炎症といった怪我につながります。
息子が「なんか最近、疲れが取れない気がする」と言っていたのも、これが原因だったのかもしれません。
③反応速度の遅れ
スポーツでは、0.1秒の差が勝敗を分けます。そして、怪我の有無も分けます。
研究によると、睡眠時間が6時間の選手と9時間の選手では、反応速度に明確な差が出るそうです。
わかりやすく言うと、寝不足だと「体が反応するのが遅れる」ということです。
相手の足にひっかかったり、着地のタイミングがずれたり。こうした「ちょっとした遅れ」が大怪我につながることもあります。
親としては、子どもに怪我をしてほしくない。その一心です。
「まだ動ける」と感じていても、体は悲鳴を上げている
一番怖いのは、本人も周囲も気づきにくいということです。
息子に「疲れてる?」と聞くと、「大丈夫」と言います。まだ動けるし、練習にもついていける。
でも、脳と体は確実に機能が低下している。そして、怪我という形で「限界」が表面化するんです。
つまり、睡眠不足は「見えない敵」だということです。
この「1.7倍」という数字がどういう研究で明らかになったのか、詳しく見ていきます。
睡眠不足と怪我リスクの研究データ—1.7倍という数字の意味
「1.7倍」という数字が意味すること
睡眠時間8時間未満の選手は、8時間以上の選手と比べて、怪我のリスクが1.7倍高い。
この数字、最初は「へえ、そうなんだ」くらいにしか思いませんでした。でも、よく考えてみると、すごく怖い数字なんです。
わかりやすく言うと、10人中3人がケガするところが、10人中5人以上がケガするような状態だということです。
これは、私が勝手に言っているわけではなく、12〜18歳のアスリート112名を1年間追跡調査した研究で明らかになったデータです。
(出典: Milewski博士らの研究、PubMed ID: 25028798)。
つまり、これは「なんとなく」ではなく、科学的に証明された事実なんです。
もっと驚くべきデータ—睡眠6時間と9時間の差
さらに驚いたのが、PEACEアスリートクラブが紹介している研究データです。
- 睡眠時間6時間の選手: 怪我の発生率70%以上
- 睡眠時間9時間の選手: 怪我の発生率20%以下
つまり、睡眠時間を3時間増やすだけで、怪我のリスクを約3分の1に抑えられるということです。
正直、ここまで差があるとは思いませんでした。
息子の睡眠時間は6時間半。ということは、怪我のリスクが高い状態で毎日練習していることになります。
「もっと早く知っていれば…」と思いました。
中高生に多い怪我の種類と部位
日本スポーツ振興センターの統計を見ると、中高生の部活動における怪我の傾向がわかります。
中学生で多い怪我:
- 下肢部(足)の怪我: 35%
- 上肢部(手・腕)の怪我: 33%
- 特に多い部位: 手・手指部、足関節(足首)
高校生で多い怪我:
- 挫傷・打撲: 最多
- 次いで骨折
つまり、中学生は骨折が多く、高校生は捻挫や打撲が多いということです。
息子も足首を捻ったり、膝を打撲したりすることが増えました。これは高校生に多い怪我のパターンと一致しています。
競技別の怪我発生率—バスケ・サッカー・バレーが上位
球技中の怪我が全体の7割以上を占めるそうです。特に多い競技は:
- バスケットボール
- サッカー・フットサル
- バレーボール
- 野球(含軟式)
息子はバスケ部。つまり、最も怪我が多い競技をやっているということです。
ジャンプ、着地、急な方向転換—バスケは足首や膝への負担が大きい競技です。だからこそ、睡眠でしっかり体を回復させることが重要なんですね。
慢性的な睡眠不足は「借金」のように蓄積される
「週末に寝だめすればいいんじゃない?」
最初、私もそう思いました。でも、違うんです。
毎日1時間ずつ睡眠が足りない状態が1週間続くと、それは「7時間分の睡眠負債」として体に蓄積されるそうです。
わかりやすく言うと、睡眠不足は「借金」のようなもので、週末に寝だめをしても完全には返済できないということです。
アメリカの研究では、慢性的な睡眠不足(6時間以下を2週間継続)は、2日間徹夜したのと同じくらい認知機能が低下することが示されています。
つまり、「少しずつ寝不足」が積み重なると、気づかないうちに脳と体の機能が大幅に低下しているんです。
親として知っておくべき事実
これらのデータをまとめると、こういうことです:
- 睡眠8時間未満で怪我リスク1.7倍
- 睡眠6時間だと怪我発生率70%以上
- 睡眠9時間以上だと怪我発生率20%以下
- 慢性的な睡眠不足は累積効果で体を蝕む
技術指導はできなくても、睡眠時間を確保してあげることはできます。
つまり、睡眠環境を整えることが、競技経験のない父親にもできる、確実な怪我予防サポートだということです。
次の章では、睡眠中に体で何が起きているのか、そのメカニズムを見ていきます。
睡眠中に体で起きていること—リカバリーのメカニズム
寝ている間、体は何をしているのか?
「寝るだけで、本当に体が回復するの?」
正直、最初は半信半疑でした。でも、調べれば調べるほど、睡眠中の体の働きに驚かされました。
わかりやすく言うと、睡眠中は「体が全力で修復作業をしている時間」だということです。
息子が寝ている間、体の中ではこんなことが起きています。
①筋肉の修復—「成長ホルモン」という魔法
練習や試合で酷使された筋肉は、ミクロレベルで無数の損傷を受けています。この損傷を修復し、より強い筋肉を作り上げるのが「成長ホルモン」です。
成長ホルモンは、入眠後最初の深い眠り(ノンレム睡眠)で最も多く分泌されるそうです。このタイミングは、寝ついてから最初の30〜90分間に集中しています。
(出典: 阪野クリニック)。
つまり、深い睡眠を十分に取れないと、筋肉は修復されず、翌日も疲労を引きずったまま練習に臨むことになるということです。
成長ホルモンの主な働きは:
- 筋繊維の修復と再生
- タンパク質合成の促進
- 脂肪の分解とエネルギー産生
- 骨の成長と強化(16〜18歳の成長期では特に重要)
「寝る子は育つ」という昔からの言葉は、科学的にも正しかったんですね。
②炎症の抑制—体の「火消し作業」
激しい運動は、筋肉や関節に炎症を引き起こします。この炎症を放置すると、慢性的な痛みや怪我につながります。
睡眠中には、「抗炎症性サイトカイン」という物質が分泌されて、炎症を抑える働きをするそうです。
逆に、睡眠不足になると「炎症性サイトカイン」が増加し、体の炎症反応が強まるんだとか。
わかりやすく言うと、睡眠は体の「火消し作業」で、寝不足だと体のあちこちで「炎症という火事」が起きている状態だということです。
息子が「膝がなんか痛い」「肩が重い」と言うことが増えたのも、もしかしたら慢性的な炎症が原因かもしれません。
③免疫システムの回復—風邪をひきやすいのも睡眠不足?
ジュニアアスリートは、練習で体力を消耗するため免疫力が低下しやすいそうです。
睡眠中には、「T細胞」や「ナチュラルキラー細胞」といった免疫細胞が活性化されるとのこと。これらの細胞が、ウイルスや細菌から体を守り、損傷した組織を修復してくれます。
(出典: 近畿大学メディカルサポートセンター)。
つまり、睡眠不足だと免疫力が下がって、風邪をひきやすくなるということです。
そういえば、息子も最近、風邪をひきやすくなった気がします。「練習で疲れているから仕方ない」と思っていましたが、もしかしたら睡眠不足が原因だったのかもしれません。
④神経系の回復—技術が「体に染み込む」のは睡眠中
スポーツで最も重要なのは「脳と体の連携」です。正確な動き、素早い判断、瞬時の反応。これらはすべて神経系がコントロールしています。
睡眠中、特に「レム睡眠」の間に、脳は情報を整理し、記憶を定着させ、神経回路を最適化するそうです。
わかりやすく言うと、練習で学んだ技術やフォームが「体に染み込む」のは、睡眠中だということです。
これを知って驚きました。いくら練習しても、睡眠が足りなければ技術は定着しないんですね。
深い眠り(ノンレム睡眠)と浅い眠り(レム睡眠)の役割
睡眠には「ノンレム睡眠(深い眠り)」と「レム睡眠(浅い眠り)」の2種類があって、それぞれ違う役割を果たしているそうです。
ノンレム睡眠の役割:
- 成長ホルモンの大量分泌
- 筋肉修復
- 免疫強化
- 疲労回復
ノンレム睡眠は、特に睡眠の前半(最初の3〜4時間)に多く出現します。
レム睡眠の役割:
- 記憶の定着と整理
- 運動スキルの習得促進
- 精神的ストレスの軽減
- 筋肉の緊張緩和
レム睡眠は、睡眠の後半(朝方)に多く出現します。
(出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット)。
つまり、睡眠の「前半」と「後半」、両方が重要だということです。
睡眠時間が6時間だと、後半のレム睡眠が十分に取れず、技術の定着が不十分になるんですね。
睡眠サイクルの理想形—なぜ8〜9時間が必要なのか
睡眠は約90分周期で、ノンレム睡眠とレム睡眠を繰り返すそうです。一晩で4〜5サイクルを経ることで、体と脳の完全な回復が実現します。
理想的な睡眠サイクル(8〜9時間睡眠の場合):
- 第1サイクル(0〜90分): 深いノンレム睡眠、成長ホルモン大量分泌
- 第2サイクル(90〜180分): ノンレム睡眠継続、筋肉修復
- 第3サイクル(180〜270分): ノンレム睡眠とレム睡眠のバランス
- 第4サイクル(270〜360分): レム睡眠増加、記憶定着
- 第5サイクル(360〜450分): レム睡眠優位、覚醒準備
つまり、このサイクルを完全に回すには、最低でも7.5時間(5サイクル)、理想は9時間(6サイクル)が必要だということです。
息子の睡眠時間は6時間半。これだと4サイクルちょっとしか回っていません。最後のレム睡眠が不足している状態です。
親として知っておくべきこと
睡眠中に起きている回復プロセスをまとめると:
- 筋肉修復: 成長ホルモンによる筋繊維の再生
- 炎症抑制: 抗炎症性サイトカインの分泌
- 免疫強化: T細胞・NK細胞の活性化
- 神経回復: 脳の情報整理と記憶定着
つまり、睡眠は「何もしていない時間」ではなく、「体が全力で回復作業をしている時間」だということです。
どれだけ高価なサプリメントを摂っても、どれだけ優れたトレーニングをしても、睡眠が不足していればそのすべてが無駄になる—そう気づきました。
次の章では、試合前後の睡眠戦略について見ていきます。
試合前・試合後の睡眠戦略—親として知っておきたいポイント
試合前日に眠れない息子を見て—「睡眠貯金」という考え方
試合前日、息子がなかなか寝付けずにいるのを見ると、親としては心配になります。
「明日、ちゃんとパフォーマンス発揮できるかな…」
でも、調べてみたら意外な事実がわかりました。
試合前日に眠れなくても、実際のパフォーマンスにはほとんど影響しないそうです。
(出典: Altitude Booster)。
重要なのは、試合の3〜4日前からの睡眠なんだとか。
つまり、「睡眠貯金」という考え方が大事だということです。
DataSleepの分析によると、アスリートは以下の睡眠時間を確保すべきとされています:
- 通常期: 8〜9時間
- 強化期間: 9〜10時間
- 試合前: 8〜9時間(睡眠貯金を意識)
試合の1週間前から「睡眠貯金」を積み重ねることで、本番でのパフォーマンスが最大化されるんですね。
これを知って、少し安心しました。息子に「前日眠れなくても大丈夫。それまでにしっかり寝ておこうね」と伝えることができます。
試合当日の仮眠—15〜20分がベスト
試合が午後や夕方の場合、15〜20分の仮眠が効果的だそうです。
Nikeのスポーツ科学研究によれば、短時間の仮眠には以下の効果があります:
- 反応速度の向上
- 集中力の回復
- 疲労感の軽減
- 気分の改善
(出典: Nike)
ただし、30分以上の仮眠は避けるべきとのこと。深い眠りに入ってしまうと、起きた時に強い眠気が残り、パフォーマンスが低下するそうです。
つまり、仮眠は「短く、浅く」が鉄則だということです。
理想的な仮眠のタイミング:
- 試合の2〜3時間前
- 時間は15〜20分
- 静かで暗い場所で
- アラームを必ずセット
息子が試合前に「ちょっと眠い」と言ったら、「20分だけ寝てきなさい」と声をかけることができます。
試合後のリカバリー睡眠—興奮を鎮める工夫
試合後の体は、極度の疲労状態にあります。筋肉の損傷、エネルギーの枯渇、精神的ストレス。これらを回復させるのが「リカバリー睡眠」です。
でも、試合後は興奮状態が続いて、なかなか眠れないこともありますよね。
息子も、勝った試合の後は興奮して夜遅くまで起きていることがあります。負けた試合の後は、悔しさで眠れないこともあります。
オーストラリアンフットボールリーグの研究では、勝ち試合の後よりも、負け試合の後の方が選手の睡眠時間が短くなる傾向が見られたそうです。精神的ストレスが睡眠の質を下げるためだとか(出典: SNDJ)。
つまり、試合結果にかかわらず、意識的に睡眠時間を確保することが重要だということです。
興奮を鎮めるために、こんな方法を試してみるといいそうです:
- ぬるめのシャワー(38〜40℃)
- 軽いストレッチ
- スマホ・PCの使用を控える
- 深呼吸やリラクゼーション
試合翌日は、通常よりも1〜2時間長く睡眠を取ることが推奨されています。
遠征時の睡眠—いつもと違う環境での工夫
遠征や合宿では、いつもと違う環境で眠ることになります。この「環境変化」も睡眠の質を下げる要因です。
息子も、合宿の後は「あんまり眠れなかった」と言うことがあります。
遠征先でも、できるだけ普段の睡眠環境に近づける工夫が必要だそうです:
- 使い慣れた枕を持参(後で紹介する枕の話につながります)
- 耳栓・アイマスクの使用
- 室温・湿度の調整
- リラックスできる音楽や香り
つまり、「家と同じ環境」を作ることが、遠征時の睡眠の質を保つ鍵だということです。
親として知っておきたいポイント
試合前後の睡眠戦略をまとめると:
- 試合3〜4日前からの睡眠貯金
- 試合前日に眠れなくても焦らない
- 試合前の15〜20分の仮眠
- 試合後のリカバリー睡眠
- 遠征時の環境整備
これらを知っておくだけで、親としてできるサポートの幅が広がります。
「明日試合だから、今週は早く寝ようね」「試合後は疲れてるから、今日は早めに休もうね」—そんな声かけができるようになりました。
次の章では、親として具体的に何ができるのか、睡眠サポートの方法を見ていきます。
親ができる怪我予防サポート—まず何から始めるか
競技は教えられなくても、環境は整えてあげられる
ここまで読んで、こう思った方もいるかもしれません。
「睡眠が大事なのはわかった。でも、具体的に親として何をすればいいの?」
私も最初、同じことを思いました。技術指導はできない。戦術の話もわからない。でも、何かしてあげたい。
そこで気づいたのが、「睡眠環境を整えること」なら、競技経験のない親にもできるということです。
①睡眠時間の確保—スケジュールを一緒に考える
まず最優先すべきは、物理的な睡眠時間の確保です。
16〜18歳のジュニアアスリートには8〜10時間の睡眠が必要です。しかし、部活、塾、宿題と忙しい毎日の中で、この時間を確保するのは簡単ではありません。
我が家でも、息子の就寝時刻が23時を過ぎることがよくあります。朝練が6時なら、5時半には起きなければいけない。単純計算で6時間半しか寝られていません。
親ができること:
- 就寝時刻を決めて守る(例:22時30分就寝、6時30分起床で8時間)
- 夕食の時間を早める(就寝3時間前までに)
- 宿題の優先順位を一緒に考える
- 塾のスケジュールを見直す
つまり、「寝る時間がない」のではなく、「寝る時間を作る」という発想の転換が必要だということです。
息子と一緒に、1週間のスケジュールを紙に書き出してみました。どこで時間を削れるか、どこで効率化できるか—一緒に考えることで、息子も「睡眠時間を確保しよう」という意識を持ってくれました。
②睡眠環境の整備—「質」を上げる工夫
睡眠時間を確保しても、睡眠の「質」が悪ければ意味がありません。質の高い睡眠を実現するには、環境整備が不可欠です。
部屋の温度・湿度
米国の睡眠研究の第一人者であるショーン・スティーブンソンは、著書『SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術』の中で、睡眠に最適な室温は15〜20度と述べています。
「少し肌寒い」と感じるくらいの温度が、実は深い睡眠を促すそうです。体は睡眠時に体温を下げようとするため、室温が低い方が自然な体温調節がしやすくなるんですね。
湿度は40〜60%を目安に。高すぎると蒸し暑く、低すぎると喉が乾燥してしまいます。
(出典: 厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド2023)。
つまり、エアコンやサーキュレーターを活用して、快適な温度を保つことが重要だということです。
照明の調整
就寝1時間前からはブルーライトを避け、暖色系の照明に切り替えます。スマホやPCの使用も控えるよう声をかけましょう。
これは息子にも何度も言っていますが、なかなか守られません(苦笑)。でも、少しずつ意識してくれるようになってきました。
寝具の見直し—特に「枕」が重要
マットレス、布団、そして枕。これらの寝具が体に合っていないと、睡眠の質は大きく低下します。
特に枕は、呼吸のしやすさや寝返りのスムーズさに直結します。
成長期のジュニアアスリートにとって、体に合った枕を使うことは、怪我予防とパフォーマンス向上の両面で重要です。
このあたりの詳しい話は、別の記事でまとめています。
アスリートが実際に使っている枕や、睡眠環境の整え方について、もっと詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください:
📌 ジュニアアスリートの睡眠環境、親ができるサポートとは?整体枕という選択肢
③疲労サインを見逃さない—親だから気づけること
子どもは「疲れた」と言わないことが多いです。でも、体は正直にサインを出しています。
注意すべき疲労サイン:
- 朝起きるのが辛そう
- 食欲がない
- イライラしやすい
- 小さな怪我が増えた
- 練習に集中できていない
- 風邪をひきやすい
息子も最近、朝起きるのが辛そうでした。「今日だるい」と言うことも増えました。これは慢性的な睡眠不足のサインだったんですね。
こうしたサインを見逃さず、「今日は早く寝よう」と声をかけることが大切です。
④医師・コーチとの連携—一人で抱え込まない
怪我が続く場合、睡眠不足以外の原因が隠れている可能性もあります。
- スポーツ整形外科医への相談
- スポーツドクターの定期チェック
- コーチへの状況共有
私も、息子の怪我が続いたとき、一度スポーツ整形外科に連れて行きました。幸い大きな問題はありませんでしたが、専門家の意見を聞くことで安心できました。
つまり、医療関係者やコーチと連携し、子どもの体調を多角的にサポートすることが重要だということです。
親としてできること—まとめ
技術指導やトレーニングは専門家に任せるしかありません。しかし、睡眠環境を整えることは、父親だからこそできるサポートです。
- 睡眠時間の確保を最優先する
- 温度・湿度・照明を最適化する
- 体に合った寝具を選ぶ
- 疲労のサインを見逃さない
- 医師・コーチと連携する
これらのサポートが、子どもの怪我を防ぎ、最高のパフォーマンスを引き出すということです。
まとめ—怪我予防の最優先は睡眠
睡眠は「見えないトレーニング」
息子の小さな怪我が増えたことをきっかけに、睡眠と怪我の関係について調べてきました。
わかったのは、睡眠は「見えないトレーニング」だということです。
どれだけ技術を磨いても、どれだけ体力をつけても、睡眠が不足していれば怪我のリスクは跳ね上がる。逆に、睡眠をしっかり取ることで、怪我のリスクを大幅に減らすことができる。
科学的に証明された事実
この記事で紹介したデータをもう一度振り返ります:
- 睡眠8時間未満で怪我リスク1.7倍
- 睡眠9時間以上で怪我発生率20%以下
- 睡眠不足は注意力・筋肉修復・反応速度すべてに悪影響
睡眠中に起きていること
- 成長ホルモンによる筋肉修復
- 炎症の抑制と免疫強化
- 神経系の回復と記憶定着
つまり、睡眠中は体が全力で回復作業をしているということです。
試合前後の戦略
- 試合3〜4日前からの睡眠貯金
- 15〜20分の仮眠でパフォーマンス向上
- 試合後のリカバリー睡眠
父親ができるサポート
- 睡眠時間の確保(8〜10時間)
- 睡眠環境の整備(温度・湿度・照明・寝具)
- 疲労サインの早期発見
- 医師・コーチとの連携
環境整備の具体策—もっと詳しく知りたい方へ
睡眠環境を整えるための具体的な方法、特に枕の選び方や寝具の調整方法については、別の記事で詳しくまとめています。
アスリートが実際に使っている枕や、睡眠専門医のコメント、実際の使用者の声なども紹介しています。
ジュニアアスリートに特化した睡眠環境づくりのノウハウを知りたい方は、ぜひこちらの記事もご覧ください:
📌 ジュニアアスリートの睡眠環境、親ができるサポートとは?整体枕という選択肢
最後に—睡眠は投資
高価なトレーニング器具やサプリメントに投資する前に、まず「睡眠」に投資してください。
睡眠は、お金をかけずにできる最も効果的なパフォーマンス向上法です。そして、睡眠環境を整えることは、1日8時間、年間約3,000時間の「質」を変える投資なのです。
父親として、子どもの安全とパフォーマンスを守るために。今日から、睡眠を最優先にした生活習慣づくりを始めましょう。
息子の小さな怪我が増えたことをきっかけに、私は睡眠の重要性に気づきました。この記事が、同じように「何かしてあげたい」と思っている父親・母親の参考になれば嬉しいです。
技術指導はできなくても、睡眠環境は整えてあげられる。
「もっと早く知っていれば…」と後悔する前に。
アスリートが実際に使っている枕、睡眠専門医が推奨する寝具、息子の体に合った睡眠環境の作り方——父親だからこそできるサポートの全てをまとめました。
👉 ジュニアアスリートの睡眠環境、親ができるサポートとは?整体枕という選択肢


